部下をうしろから撃つ

部下をうしろから撃つ

そんな上司はテレビドラマでしか見たことがなかったのですが、ついに私の目の前にも現れました。今から十数年前のことです。

それは、かつての職場で毎月開催される大きな定例会議でのこと。関連部門が集まる総勢50名くらいの会議です。

若い担当者が参加メンバーを前に新製品の開発提案をしていた時だったと思います。ざんねんながら内容が「ツッコミどころ」満載で、案の定いろいろと質問攻めの展開に。

必死に応戦する担当者の後ろには直属の上司が座っていました。助け舟を出す様子はなく、終始不機嫌そうな表情です。

すると参加者の一人が基本的な質問をしました。詳細は忘れてしまったのですが、たぶん「競合他社製品の価格帯はいくらぐらいですか?」といった類の容易に答えられるだろう問いだったかと。

私はそのとき「質問で吊るし上げよう」ではなく、「会議の空気を換えよう」という質問者の意図を感じ、少しほっとしました。

(たまに会議の度にあら捜しに血眼になり、他部門を吊るし上げては喜んでいる万年野党のような人がいますので困ります…。)

ところが、極度の緊張からか、力尽きてしまったのか、あるいは調査を失念したのか、その担当者は答えに窮してしまったのです。

ここは背後に控える上司が部下を救うべくカバーに入る場面です。そのための上司ですから。しかし、彼女の第一声に私は耳を疑いました。「あなた、そんなことも確認してないの?」

このあとも、しばし皆の前で部下に対する叱責が続き、結局 提案は差し戻されることに。

ざんねんな上司」と「ヒトを残すは上なり」で、私のざんねんな直属の上司をご紹介しましたけれど、「部下をうしろから撃つ」上司に比べれば いずれもカワイイモンです。