防衛大学校(5)

防衛大学校(5)

自衛隊といえば軍隊を想起させ、軍隊といえば旧日本軍のリンチやいじめ、暴力といったイメージを抱かせるかと思います。

しかし、防大では体罰は一切受けませんでした。ただ、殴られない代わりに「腕立て伏せ」をずいぶんやらされましたけれど…。

朝は6時か6時半だったか忘れましたが定刻に起床。ラッパの音と共にとびおきてベッドからシーツを外し、毛布とともに決められたやり方で畳んで整えます。

下半身は作業着、上半身は裸でタオルを持って宿舎前に整列。乾布摩擦をしながら「右向け右」とか「前へ進め」といった号令の発声練習。全員揃ったところで整列、点呼。この間約5分です。

その後1年生は、当番表に従って直ちに公共場所の清掃に向かいます。トイレ、浴場、廊下、週番室等々、どの場所にも4年生の管理者がいて清掃の仕方や出来栄えを毎回チェックされます。出来が悪かったり、大きなミスをしたりすればその場で腕立て伏せです。

朝の掃除をなんとかクリア出来たら、食堂に走ります。食事が摂れる時刻も正確に決められているのですが、掃除時間を考慮しているとは思えないほど終了時刻が早い。

このため、掃除に手間取った場合は、ごはんを噛む間もなく飲み込む羽目になるか、最悪の場合「メシ抜き」です。しかも、「メシ抜き」はご法度ですから、後から呼び出されてたっぷり説教を受けるという憂き目に。

私も何度か、熱いご飯に水をかけ、おかずと共に一気に胃袋に流し込んだことがあります。朝から晩までこうした時間との闘いが続くのです。(つづく)