差額ベッド代お断り(2)

差額ベッド代お断り(2)

病院からかかってきた電話の内容は、「父の容体が悪化し、大部屋から個室に移して対処している。従って、個室料金が発生するが了承してもらえないか?」というもの。

電話を掛けているのは入院時に主治医と共に紹介された研修医であることは声でわかりました。

私は「こんな時に差額ベッドの話までするのか…」と腹立たしい気持ちに。しかも金額を確認したところ、なんと1日あたり2万円だと言います。

不愉快な気分なるも、「ここでもし断ったらぞんざいに扱われやしないか」という一抹の不安が頭をよぎります。

それにそもそも容体急変ということで気が動転していた私は「それならしかたありません…」と了承しました。

しかし、少し冷静になって考えてみるとやはりどこかおかしい。個室に移したのは病院の判断であり、当方の希望ではありません。それに個室でなければ出来ない処置をしている様子もない。

これは間違いなく医療現場の経験に乏しく要領を得ないあの研修医の失態に巻き込まれたと悟りました。彼は単なるメッセンジャーに成り下がっている。

そこで翌々日に面会に出向くと、ちょうど通路で主治医とすれ違いました。私はすかさず声をかけ「差額ベッドは払えない」と伝えましたところ、あっさり「わかりました」と。

その足で病棟へ行くと看護師から「あとでサインしていただきたい書類がありますので」と言われました。

そこで私は看護師に「研修医の先生からお話のあった差額ベッド代は払えないと、先ほど主治医の先生に伝えて了解してもらいました」と伝えました。すると「あっ、そうですか。わかりました。先生がOKすればとくに問題ないです」と。

面会を終え看護師にお礼を言って病院を後にしたのですが「サインしていただきたい書類」は出てきませんでした。その書類は「差額ベッド代の支払いに同意する書面」だったはずです。

ちなみに、その書面にサインをしてしまうと、支払いを拒否することは非常に難しくなるそうです。逆にサインさえしなければ大丈夫。

いずれにしてもこの「差額ベッド代」は実に曖昧で旧態依然としている悪しきシステムであります。くれぐれもご注意ください。