大手企業の著名な社長が経済同友会のセミナーで「45歳定年制」を提言し、賛否両論さまざまな議論が巷に巻き起こりました。
「強者の理論だ」とか「単なるリストラだ」といった、要するに「弱いものいじめはやめてくれ」という批判もあれば、「若い世代のモチベーションがあがる」「生産性の向上につながる」といった意見も。
ラジオを聞いていたら、経済の専門家と称する人が「社員の愛社精神を軽視している」とコメントしていました。
45歳で放り出されてしまうのでは、そうした崇高な精神も育まれないし、現に今、そういう思いを抱いて日々働いている人の気持ちも考えるべきだと。
テレビを見ていたら、官房長官が会見で「国としては70歳まで企業に雇用を義務づける方向でお願いしている」と事態の鎮静化を図っていました。
社会的影響力の強い人の発言というのは、やはり世間での扱われ方が違いますね。
それはさておき、私は「45歳定年制」に賛成でも反対でもありません。と申しますのも「定年は自分で決めるべき」だと思うからです。
ひとり一人が自分の人生設計をするなかで、おかれた立場や家庭環境、健康状態などを踏まえて定年を決めればよいと思うのです。プロスポーツ選手と同じようなスタイルが理想かと。
例えば、今季のプロ野球界を見ても、実績が出せなくなったり、健康上の問題だったり、家庭の事情だったり、様々な理由で何人もの選手が引退を決めていました。もちろんリストラに相当する「戦力外通告」を受けて辞めざるを得ない選手も…。
会社の社員も同じように、個々に「定年」を、というより「引退」を決断できるようになるのが理想だと思います。もちろん、一足飛びに実現するのは難しいでしょうけれど。
会社は法人であり、半分人間みたいなものなのですから、会社の制度としての定年はそれぞれの会社が決めればよいでしょう。定年が無い会社もあれば、45歳の会社もある。
もし、45歳定年の会社に就職するのなら、それを前提に人生設計をするまでです。長期安定雇用を優先するなら、定年のない会社を選べばよい。
もちろん、何を優先するかによって犠牲にしなければならないこともあるはず。例えば、定年のない会社は、給与水準は低いかもしれませんね。
「みんなちがって、みんないい(金子みすゞ)」 そう思います。