ヘッドハンティング

ヘッドハンティング

今から5年ほど前のこと。同士とコンサルティングを生業とする新会社を立ち上げました。このとき人材紹介業にも着手。俗にいうヘッドハンティングビジネスです。

この人材紹介業、実はれっきとした許認可事業。コンサルのように誰でも自由に始められるわけではありません。正式には有料無料職業紹介事業という名称で、無料で紹介する場合であっても厚労省の許認可が必要なのです。

管轄は各地の労働局で、私も港区海岸にある東京労働局需給調整事業部という長い名前の役所に何度も足を運びました。

書類申請、必要な資格を取得するための講習受講まではよいのですが、個人情報を扱うためにオフィスの基準までありますから少々面倒です。

広さや間取り、机の配置、鍵付き書庫はあるか、プライバシーが保てるかたちで面談をするスペースを確保しているか等、審査官が現場を訪問調査します。

ただ、手間はかかるのですが当局の言われた通りに対応すればよいので、認可のハードルはそれほど高くありません。自宅をオフィスにして一人で開業している方もいます。

晴れて認可が降り、私たちは過去の人脈をたどりつつ営業をはじめました。「ヘッドハンター」として求職者と面談し、求人企業にその人を紹介する。逆に企業のニーズをヒアリングして適材を探してくる。

ヘッドハンティングした人物が採用されると、紹介手数料として年収の30%前後が採用企業から私たちに支払われるしくみ。ちなみに手数料に関しても当局に届出が必要です。

ということで、公的な管理監督下で行われる人材紹介事業。リクルートやパソナといった大手から個人事業主まで、事業者は全国に2万以上。

私たちもそのうちの1つだったわけですが、正直なところあまり楽しくありませんでした。言葉は悪いですが人身売買しているみたいで…。

就職という人生の重要な選択が金儲けの手段になっていることに、どこか釈然としない思いはずっと拭えませんでした。