今回のウクライナ危機で、「エネルギー資源を保有する国は強い」とあらためて思い知らされます。善悪の判断は一旦措くとして、ロシアがあれだけ強硬な姿勢を維持できるのも天然ガスをはじめとする資源を持っているから。
大前研一氏が著書で「日本の食糧自給率の低さを心配するなら、まずエネルギーの確保について考えなければ意味がない」と指摘していました。
なぜなら今の農業は石油がなければ立ち行かないからです。農機具を動かすにも、ビニールハウスの温度を保つのも、農薬や化学肥料の製造にも。
結局、現代社会において人々はエネルギー資源なくして生きられない。生物的には生きられても、社会的には不可能でしょう。
ロシアが核の使用をほのめかしながら、隣国や西側諸国を威嚇。それに反応した一部の政治家たちが「日本も核保有についての議論をすべき」と興奮しているようです。
たしかに私もウクライナの惨状を目にするにつけ、「ほんとうに米軍は日本を守ってくれるのか」疑問ですし、核武装についての議論だって避けるべきではないと思います。
しかし、どれもこれもエネルギー資源が無ければ話になりません。コンピューター制御された高度な兵器なら電気が供給できなければ無用の長物です。
核武装に一足飛びに行く前に、まずは安全を十分に担保したうえで原子力発電能力を向上させるなど、いざというときの「エネルギー確保」について真剣に取り組むべきかと。
2021年のデータによると日本のGDPはドイツを僅かに上回り、米国、中国に次いで世界第3位です。そのいわば「足腰」となる「エネルギー」の9割を海外に依存しているという危うさを再認識すべきでしょう。