さらば、欲望(佐伯啓思 著)

さらば、欲望(佐伯啓思 著)

佐伯先生の本を紹介するのはこれで3冊目。斬新なタイトルにも魅かれて、思わず手に取った次第だが、いつもながら期待に違わず中身の濃い内容だった。

2018~22年にかけて先生が論壇誌などで発表した社会時評や文明論を新書としてまとめたもの。ロジカルかつ平易な文章でスムーズに頭に入って来る。

副題にもあるように「資本主義の隘路をどう脱出するか」という問いかけに対する回答を試みた論考。

全6章のうち、タイトルにもなっている「第3章さらば、欲望」に収められた5つの論文は特に読み応えがあった。

人間の無限の欲望を是とする資本主義の世界を慌ただしく駆け回っている私たちは、その一方で大切な何かを日々失いつつあるのか…。(幻冬舎新書)