アルパカの毛刈り

アルパカの毛刈り

朝、ラジオを聞いていたら「暑さが本格化する前に、長野市の動物園でアルパカの毛刈りが行われました。」というニュースが。

ウクライナ危機、知床遊覧船事故、コロナ…心痛むニュースばかりが続く中で、めずらしくほのぼのとした話題に思わず私は耳を澄ましました。

アルパカはもともと標高4000メートル以上の涼しい場所に生息し、蒸し暑い日本の気候では体調を崩すこともあるため、動物園では毎年この時期に毛刈りを行っています。 

NHK第1「マイあさ!」2022.5.24

最初は、あの愛らしいアルパカの姿が頭に浮かび、微笑ましい光景をイメージしたのですが、アナウンサーが最後に「毛刈りを終えたアルパカは、気持ちよさそうに歩いていました」という締めの言葉を聞いたとたん、私は俄かに違和感を覚えました。

冷涼な高原から蒸し暑い動物園に「強制収容」されたうえ、それが理由で毛を奪われるというアルパカの身に考えが及んだようです。

人間の目には「気持ちよさそう」に見えたとしても、アルパカ自身はたぶん気持ちよくないだろうと。(アルパカが“見た目”を気にすることはないのでしょうけれど…)

毛を刈るときにアルパカはけっこう暴れるそうで、飼育員の方がなだめながら1時間以上かけて作業をするとのこと。

少し大げさに言えば、この話には人間の価値観とアルパカの価値観の衝突が隠されています。ただ、アルパカは人間の圧倒的な力に抵抗する術を持たない。

人間がロシアに、アルパカがウクライナに重なって見えなくもない…。このごろは、どこか条件反射のように何事も「ロシアとウクライナ」になぞらえてしまう自分がいます。