ちょうど3年前の今ごろ、当時私が勤めていたベンチャー企業でも、このゼロゼロ融資を利用することにした。
幸い財務状況は良好でキャッシュも十分。想定されるリスクを高めに見積もっても追加融資の必要はなかったのだが、あまりの好条件に、借入を決めた。
「無利子、無担保、国がお金をくれると言っているようなものですよ」。取引銀行の担当者達の誰もが“ゼロゼロ”を推してくる。
但し、さすがは銀行マン。彼らは国の施策を取り次ぐだけではない。これを好機と、自行の融資も抱き合わせで話を持ってくる。
「国から〇億円、当行も利率をここまで頑張りますので△億円、あわせて◇億円を備えていただけば万全です」と。
破格の融資と抱き合わせ販売することで、借り手の心理的なハードルを下げる作戦なのは明らかだ。
今年から“ゼロゼロ”を利用した企業の本格的な返済が始まるが、思うような業績回復が果たせなかった返済困難企業が増えることが懸念されている。
銀行マンの圧に負け、必要以上に借り入れてしまった企業もあるのではないかと心配だ。