華やかで悲しい場所

華やかで悲しい場所

韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』(大長今/대장금) 全54話を見終えた。

宮中の権力闘争の渦の中で、差別や陰謀、裏切り、罠…次々に押し寄せる理不尽極まりない困難にもめげず、時に命をもかけて、自らの信念を貫徹したチャングムの生き様は実に感動的であった。

最終回でチャングムは、苦難の末に得た地位や名誉を措いて宮中での職を辞し、民の命を救う医女として生きる道を選ぶ。

宮中の門を後にした彼女が、家に向かう道すがら最愛の夫に語る台詞がいい。

「宮中は私に料理と医術を教えてくれたし、あなたにも出会えました。でも、母を亡くしハン尚宮様を亡くし、志も失いかけました。宮中はそんな所です。」

「多くを与えてくれるけれど、大切なものを奪う場所。思い通りにできそうで実は何もできない所です。華やかに見えても実は悲しい場所なのです。」

私は思わず「宮中」を「会社」とか「本社」に置き換えて聴いてしまった。