老害

老害

自宅のマンションが大規模修繕に関して本格的に審議を始めるそうで、管理組合から「修繕委員立候補者募集」のお知らせが届いた。

大規模修繕は基本的に理事会が中心となり、管理会社と協働で進めるプロジェクトではあるが、その名の通り規模が大きく、多額のおカネが動く。

そこで、理事会の諮問機関として修繕委員会を立ち上げると。住人の中から大規模修繕に関する専門性や意見を持つ人を委員として募るというわけだ。

私はいまマンション管理会社で働く。日常の管理業務は実質赤字だが、大規模修繕を請負うことで帳尻を合わせているといった話など、表裏含めて様々な情報が取れる位置にいる。

また、昨年、実家の古い物件が大規模修繕を終えたばかり。私は両親に代わり、諸事に関わった。つまり、大規模修繕の経験者である。これは立候補するしかない!

所定の用紙に署名し、投函に行こうとしたとき、椅子の上に無造作に置かれている一冊の本が目に入った。タイトルは『老害』、妻が図書館で借りてきたらしい。

「老害…」修繕委員会で偉そうに専門家ぶって意見を述べている自身の姿がふと頭に浮かんだ。立候補は取りやめた。