ピアノが弾けるようになりたい

ピアノが弾けるようになりたい

幼い頃からピアノ奏者に憧れていました。まだ小学校にあがる前だったでしょうか、一度だけ体験レッスンを受けた記憶があります。

残念ながら、そのレッスンは1回きりでおしまい。その後はしばらくピアノとは縁がありませんでした。

私はどう頑張っても右手と左手を別々に動かすことができませんでした。学校の授業でオルガンを練習したことがありますが、その時も両手は同じようにしか動かせず…。

さて、時は流れて、あれはオーストラリアのシドニーに駐在していた頃です。週末に、日本食レストランを経営する知人宅に遊びに行った時のこと。

家の中を案内してくれたのですが、子供部屋に小さなピアノが1台置いてありました。小学生のお嬢さんがピアノを習っているとのこと。

ピアノのそばに子供向けの教本が広げてありました。よく見ると音符とともに指の動かし方なども書かれています。

そこで私は、その本に書いてある通り鍵盤をたたいてみました。すると、驚いたことになぜか自然に右手と左手が別々に動かせたのです。

たった4小節で「オタマジャクシ」が全部で20匹くらいしか書かれていない短い楽譜ですが、とにかく右手と左手で違う動きができた。生まれて初めての体験に感動しました。

あれから1年ほどたって私は日本に本帰国。独学で少し練習してみようと、ヤマハの通信講座に申し込みました。

送られてきた楽譜と動画を見比べながら地道に練習を重ね、1年くらいでなんとか初心者向けの簡単な曲をいくつか弾けるようになりました。

しかし、基礎が全く身についていません。このため早々に壁にぶつかり、それを乗り越えられず、いつの間にか練習をやめてしまいました。

一方、中学生の娘はピアノが大好きで、幼稚園児の頃からずっと習い続けています。もちろんその腕前は私とは比べ物になりません。

先日、これまでに使った教本などをあらためて見せてもらったのですが、やはり基本練習をみっちりやっているのですね。単調な(といっても弾くのは難しいのですが)反復練習の教本がたくさん出てきました。

何事も基本が大切、基本がなければ応用もない。基本練習は単調でつまらない、でも、それを繰り返し練習して身に着けるより他に道はない。そのことを改めて突き付けられる思いでした。

私のように「お気に入りのこの曲だけでいいから、早く弾けるようになりたい」ということで、基本練習は一切せず、いきなりその曲にチャレンジしても結局はダメですね。

さて、うれしいことに娘が先生になってくれるというので、2週間ほど前から、練習を再開することに。今回は「先生」の指示に従って、基本練習をきちんとやることにします。

老眼鏡をかけた50代後半の父親が、娘が幼稚園の頃使っていた教本とピアノの前で格闘している姿はなんとも滑稽ではありますが…。