防衛大学校(8)

防衛大学校(8)

「風呂・飯(メシ)」をクリアすれば、あとは平穏な自習時間。22時の消灯までの間、6人が机をならべてお勉強。こちらは自分のプランで自由に勉強をすればよいのです。

自習時間は前段・中段・後段の3部に分かれていて、各段の合間に10分程度だったと思いますが、休憩時間がありました。

「整頓不良カード」などを受け取った場合は、この休憩時間に週番室に赴き、4年生からお説教を受ける羽目になりますが、そうでなければ自由に過ごしてかまいません。

実は毎朝教場に出発する前に「容儀点検」と呼ばれる服装検査がありまして、これが意外とやっかいで、休憩時間をその準備に充てる者も多くいます。

制服のプレス具合や靴の磨き具合から校章の輝きまで上級生に細かくチェックされ、この検査に通るまで、何度でもやり直しをさせられるものですから、私も勉強よりアイロンがけに忙しいことがよくありました。

胸や襟につける金色の校章は常にピカピカに光ってなければなりません。専用の金属研磨剤を売店で買って磨くのですが、その商品名は「ピカール」。

まるで小林製薬の人が命名したのかと思うような名前の秘密兵器「ピカール」を各自1本常備して、毎日懸命に校章を磨いたものです。

そうこうしているうちに就寝前の点呼時刻に。机の上を手早く整頓して廊下に整列、22時の消灯ラッパでベッドに入り、慌ただしい一日がようやく終わります。(つづく)