11年前の今日@モスクワ

11年前の今日@モスクワ

ちょうど11年前の今日、私は出張でモスクワに来ていました。東日本大震災が発生してからまだ4日。原発事故のこともあり家族を残して日本を離れるのは正直なところ少し不安でしたが…。

到着したその日はたまたま、ロシア各地に散らばって活動しているスタッフがモスクワで一堂に会すコンファレンスの日。私は夕食会だけ顔を出すことにしました。

会場に入るや否やスタッフが驚いた表情でかわるがわるやってきます。「なぜ、ここにいるの?家族は大丈夫なの?」と、私は質問攻めに遭いました。

皆とても心配そうな表情で声をかけてくれたのです。「使っていない部屋があるので、もし住む場所が無くて困っている人がいたら場所を提供するので連絡してくれ」とか「“離れ”が空いているので5人くらいは大丈夫だよ」とか。

ロシア人たちの心温まる激励に胸が熱くなりました。あの時のことを思うと、彼女らの住む国ロシアが、隣国ウクライナに牙をむいているということがにわかに信じられません。

3.11の日を境に世界中が日本を助けよう、共に困難を乗り越えようと“solidarity(連帯)”を合言葉にひとつになった。そこには間違いなくロシアの人々もいました。

きっとロシアの人々のほとんどは、あのとき日本の被災者に救いの手を差し伸べようとした優しい心の持ち主に違いありません。

目下ウクライナの人々が日々被りつつある犠牲は計り知れないものがあるでしょう。一方で、あの心優しいロシアの人々も国の上層部の誤ったかじ取りのツケを払わされる犠牲者。

戦争がもたらすものは不幸ばかり。勝者など誰もいません。今はただ一刻も早い事態の収束を祈るばかりです。