『月々480円で万が一のとき100万円が支払われます(54歳女性の場合)』―自分が歳をとったせいでしょうか、死亡保険金の広告が目に付くようになりました。
ちょっと計算してみます。この女性が84歳まで生きる(余命30年)として…
・月々480円ゆえ年間保険料は5,760円
・5,760円/年x30年=172,800円(実際には5年毎に保険料改定あり)
保険料約17万円で死亡時に100万円もらえるとは、ずいぶんお得な保険に見えます。
でも保険会社から見る景色は少し違います。この女性と同じ状況の人を10人加入させれば、30年間の保険料収入は1,728,000円。その間に1人死亡し1,000,000円を支払っても728,000円の利益が残る。
当たり前のことですが、保険会社は死亡率や平均余命などのデータを基に緻密な試算を行って商品設計していますので、ちゃんと儲かるように出来ています。
さて、保険の加入に関しては、何のために入るのかをよく吟味することが第一。(計算を提示しておいて恐縮ですが)お金の損得は二の次ですね。
死亡保険は葬式代やお墓の費用に備えるため。確かに50~60代で急に亡くなった場合、そうした費用を急に工面できないリスクに備えるべきという考えも理解できます。
でも、葬式代やお墓代は保険をかけてまで備えるべき費用なのか?子供など扶養家族がいて、生活の糧が失われてしまうリスクに備えるというなら理解できますが…。
葬式やお墓は、わざわざ保険で備えなくても「自分が死んだときに残った貯金で賄える範囲で適宜対応してもらう」ことでよいかと。
ちなみにこの死亡保険、「保険金の使いみちは自由」で、家族への遺産という目的でのコースも設定されていますが、これも果たして必要かどうか…。
もし、自分が長生きしてしまったら付保していても保険金給付の手続きをきちんとしてくれる人がいるかしら? やはり私の結論としては「死亡保険は加入に及ばず」です。