「おつり」のない生活

「おつり」のない生活

最近は「おつり」という言葉の意味がわからない子供がいるそうです。無理もありません。キャッシュレスが進み、日常生活で「おつり」をもらう場面がすっかり減りましたから。

神も仏もキャッシュレス」でも書きましたが、お賽銭までキャッシュレスの時代。硬貨は活躍の場を奪われ、ATMに入金すれば手数料までとられる。だから、ますます決済はデジタル化してゆきます。

ところで、私はふだん荻窪で3つのスーパーを利用しています。SEIYU、OK、それにCOOPです。もちろん3店ともにキャッシュレス対応していますので「おつり」ナシ。

ところが数か月前だったでしょうか、OKではキャッシュレス決済の場合は会員向けのディスカウントを受けられなくなってしまいました。

それを機に多くの顧客はキャッシュレスから現金払いに戻した模様。私もそうです。価格が安いからこそのOK利用ですから、その後は毎度現金払い。

その結果、時代の流れに逆らって「おつり」のある生活が続いているというわけです。

ところで、なぜ「おつり」というのでしょうか?そう言えば昔は八百屋さんや魚屋さんには必ず釣銭用の硬貨がたくさん入った「カゴ」が売場に吊り下げてありました。

もしかして、その「吊り」から転じたのかもと思いきや、それとはまったく関係なく、金額を「釣り」合わせるというところから来ているようです。

荻窪のタウンセブンが出来る前、まだ新興マーケットと呼ばれ3坪程度の小さなお店がひしめきあって頃、たまに母に連れられて魚を買いに来たのを覚えています。

頭にハチマキをした威勢のいいおじさんが、魚をビニール袋に入れたあと手早く新聞紙に包み、あの「カゴ」からつかみとった「おつり」とともに母に渡していた光景を懐かしく思い出しました。