ひと月ほど前、「大学ファンド」の2022年度の運用実績が「604億円の赤字」と発表された。欧米の利上げによる債券価格の下落が主な要因とのこと。
昨年末の小欄「大学ファンドの課題」でも書いたが、これは
(1)10兆円規模ファンドの設立
(2)原資は税金1兆+国債9兆
(3)運用益を「国際卓越研究大」に配分
というプロジェクトの話。
原資が借金という時点で、「捕らぬ狸の皮算用」の感は否めなかった上に、今回(まだ期間が短いとはいえ)運用益がマイマスでは、不安しか残らない。
ただ、運用益はマイナスでも保有株式の配当で最終利益では742億円の黒字。「卓越大」への支援金はこの最終利益から支払われる。
マスコミやネットでは赤字が喧伝され、黒字の事には触れない傾向があるので、その点には注意が必要だ。
もちろん、運用益は会社で言えば営業利益だから、それがマイナスというのは由々しき事態であることに変わりはない。
いずれにせよ、研究・教育・という国家として非常に重要な事業に国債や投資運用はやはりなじまないかと。税金投入が本来の姿ではなかろうか。