危険な上司

危険な上司

私は「ざんねんな」上司に仕えたことはありますが(「ざんねんな上司」並びに「ヒトを残すは上なり」参照)、「危険な」上司の下に配属されたことはありません。ラッキーだったと思います。

しかし、私の身近なところで「危険な」上司によって、サラリーマン生命を脅かされている人を何人か見たことはありました。

一番気の毒だったのは、自分がまだ20代のペーペーだった頃 おとなりの部のA部長に干されていた課長のB氏です。

座席が近いこともあって、その凄惨極まるパワハラ(当時はパワハラという言葉はありませんでしたけれど)の様子がいやでも毎日伝わってきました。

陰湿ないじめが1年くらい続いたでしょうか、ついにB氏はハンコまで取り上げられる始末。あいつ(B氏)の権限はオレ様が取り上げたと言わんばかり。

さすがにこの状況を上層部は看過できなかったようで、結局A部長は別の部署へ異動に。

さて、あれから数年がたったある日、私は「あの時A氏を異動させたのは俺だ」という執行役員のC氏から、この件で直接お話を伺う機会を得ました。

「あのパワハラはいくら何でも酷すぎる、会社としてあれを放置してはいかん」と。さすが!役員まで登り詰める人物はちがいます。でも、同時に少し怖いと思ったことが…。

実はかつてC氏のパワハラが原因で一人の若手社員が退職したことがありました。その後任には私が異動しました。

当時、私が異動の内示を受けたとき、C氏のパワハラのことは何も聞かされていませんでした。なぜなら、その若手社員の退職並びに私の異動と同時にC氏も他部署へ異動になったから。

つまり、私はC氏の部下になるのをまぬがれていたのです。そして幸か不幸か、C氏の後任には「危険な」ではなく「ざんねんな」上司が着任…。ラッキーだったと思います。