経営コンサルタントの極意(2)

経営コンサルタントの極意(2)

経営コンサルタントの極意(1)」で書きましたように、予算もマンパワーも限られる中小企業のクライアントに、どうすれば経営コンサルタントとして満足してもらえるのかについて私は悩んでいました。

もちろん、先方だけが満足するのではなく、当方も採算が取れなければ意味がありません。それこそ無償でお手伝いすればクライアントは大喜びですがこちらは継続できなくなる。

そんな時、知人の紹介でコンサルタントのA氏と会う機会を得ました。彼は電気業界の技術者としてキャリアを積み、その分野でのアドバイスを中心にマネジメント領域に至るまで幅広く活躍されているとのこと。

A氏は発明が大好きだそうで、ご自身でさまざまな発明をして特許申請もされている。風貌から察するに70歳前後と思われますが、話しぶりはまるで好奇心旺盛な少年のようです。

さて、その彼曰く「最初にやることは、クライアント先の財務状況を分析し、経営コンサルタントである自分に支払う費用を自分が捻出してあげることです。」

実例をひとつ挙げてくれました。ある時、A氏はX社から経営に関する相談を持ち掛けられた。そこでA氏はX社の財務諸表をつぶさに分析、資金繰りからみて借入金の一部返済が十分可能と判断。

もし、この返済を実施すれば、これまで支払っていた利払い費用が節減できる。そこで、その浮いたお金を自分のコンサル費用に充ててもらうという案を社長に持ち込んだ。

つまり、これまで借入金の利息として銀行に払っていた分をコンサルタントである自分に支払ってもらい、一緒に経営課題を解決しようと提案したそうです。

これならX社としてはコンサルフィーが追加支出にはなりませんので、社長は大いに喜んだと。

この話を伺ったとき、私はこれこそ経営コンサルタントの極意だと深く感銘。自分はまだまだ駆け出しの未熟者だと痛感したのを覚えています。