優秀な車掌さん(2)

優秀な車掌さん(2)

突然の検札に乗客は少々戸惑いつつ、カバンを開けたりポケットに手を入れたりして切符を探し始める。

いきなり男子軍団から検札をはじめるのはさすがに憚られたのだろうか?いや、もしかしたら疑われていたのはあの男子軍団ではなく私たちなのか?

隣に座る2名の中年男性、向かいに座る3名の親子連れ、車掌さんに見せたのは驚いたことに全員が青春18切符だった。

車掌さんはいよいよ(たぶん本命の)男子軍団へアプローチ。ビンゴ!5名全員が運賃不足で一人当たり330円を追加徴収されている。小銭がない者がいて仲間内で融通しあうなど、支払いに結構手間取っている様子だ。

列車が減速をはじめた。もうすぐ駅に到着するが、車掌さんはドアを開けなければならないはず。間に合うのだろうか?

私の心配をよそに、彼は慌てる様子もなく5名全員からきっちり徴収を終え、小走りで車掌室に戻る。お見事!と思わず心の中で拍手。土合駅に着くと、列車の扉は何事もなかったように開いた。

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かくと

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「荻窪ラジオ」の神木各人(かみき かくと)です。私は国内外で33年間のビジネスマンライフを終え、今は荻窪を拠点にフリーランスとして活動中です。「荻窪ラジオ」では、私のこれまでの経験や、日々の暮らしで考えたことなどを「オンエア」。「読む」ラジオとしてお付き合いいただければ幸いです。

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