象の背中(秋元康 著)

象の背中(秋元康 著)

たしか15年ほど前だったと思います。たまたま出張で乗った飛行機で本作の映画をみました。役所広司、今井美樹、井川遥と私の好きな俳優さんが出ていたこともありまして…。

余命半年と告げられた48歳のサラリーマンが、残りの人生をどう生きるのかを描いた物語。

自分の年齢に近いサラリーマンという設定もあって、共感するシーンは多かったものの…。ちょっと現実離れした不倫の話がずいぶん前面に出ていて、かなりの違和感も。

それでも何故かこの映画は記憶の片隅に残っていて、いつか原作を読んでみたいと思っていました。

まさか、作者があの秋元康氏だったとは…。実は映画を観た当時は、原作者が誰かまで気に留めずじまいでしたので、今回調べてみて驚きました。

本著は同氏が初めて書いた(新聞連載)小説。私は今回その文庫版を読んだのですが、そこに付録として同氏と児玉清(俳優)の特別対談が載っていました。この対談を読んで、あの「違和感」が和らいだ気がします。

結局はフィクションなのですから、目くじらを立てて「あれはおかしい」などと言ってみても仕方ない。(本文を読む前に、たまたま対談を読んでしまったのは正解でした)

ひとつのエンターテインメントとして楽しく読ませていただきました。(扶桑社文庫)