日本のいちばん長い日(半藤一利 著)

日本のいちばん長い日(半藤一利 著)

言わずと知れた名作です。終戦の日、「昭和二十年八月十五日を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション(文庫版ウラスジより)」。

私が最初に読んだ半藤さんの作品は「昭和史」。海外に赴任して間もない頃です。日本のことを何も知らないことに改めて気づかされた私は、まず歴史を学びなおそうと、この本を手にとりました。

学校では縄文、弥生に始まって~江戸、明治くらいまでは丁寧に教えてくれますが、今の私たちの生活に直接的な影響を与えている現代史はいつも学期末で時間切れです。

というわけで、実は知っているようで、あまり知らないのが昭和のこと。特にあの戦争に関しては、日本人として、しっかり学んで理解しておきたい。

本著は八月十四日正午から翌十五日正午の玉音放送までの二十四時間に起こった、軍、政府、皇室、メディアに関わるキーパーソンたちの言動が克明に綴られています。

基本的には事実が淡々と語られているわけですが、そこには、それぞれの立場で国の命運を背負った男たちの苦悩と葛藤のドラマがスリリングに展開します。

読んでいて「手に汗握る」ことの連続でした。大宅壮一さんによる序文も必見です。(文春文庫)