クリスマスデートごっこ

クリスマスデートごっこ

今日はクリスマスイブ。この季節になるとJR東海のCMソングに使われた山下達郎の「クリスマスイブ」を思わず口ずさんでしまいます。

オリジナルリリースは83年とのことですから、もう40年近い歳月が流れているにもかかわらず、クリスマスソングの定番として確固たるポジションを築いていますね。私も少なくとも20代は完全にこの歌にハマっていました。

ところで、今は「クリぼっち」と言うそうですが、「クリスマスイブを一人で過ごすのは寂しいこと」という世間からの無言の圧力みたいなものは昔も今も変わらないようです。

あれは確か大学4年生のときだったでしょうか…女友達と二人でクリスマスイブに夕食に出かけることに。

どんな経緯でそうなったのか細かいことはよく覚えていないのですが、付き合っている人もいないし、何の予定もない者同士で「クリスマスデートごっこ」でもしてみようという話になったのだと思います。

まだ二十歳そこそこの貧乏学生ですから、お昼ファミレスに行ったり、居酒屋に飲みにいったりしたことはあっても、夕食、しかもクリスマスイブとなると身構えてしまいます。

まぁ半分おふざけですから、とりあえず新宿の高層ビル街にあるレストランが夜景も見えていいんじゃない?という話で突撃入店。

ところが入ってみてビックリ。なんと、今日はクリスマス特別メニューしか出さないと。こちら方面に疎い私は、まさかそんなことがあろうとは予想だにしていませんでした。

しかも値段がべらぼうに高い!既にテーブルに着席し、お水とお手拭きまで出されてしまい、もはや身動きとれず…。

「一番安いコースでもお金がたりないんだけど、いくらか持ってる?」と友人に聞くと「大丈夫。中座してATMで下ろしてくるよ」と。

その後、彼女とどんな会話を交わし、どんな料理をいただいたのか全く覚えていません。ただ、一刻も早く会計を済ませてこの場を立ち去りたい気分だったことは確かです。

不足分は彼女が調達し、お会計は無事終了。それにしても、なんたる醜態。「借りた分、明日返すね」といってあっさり駅の改札口で別れました。同じJRの駅ですが、あのCMとはずいぶん違う光景です。

帰宅してから財布にクレジットカードが入っていたことに気付きました。そうか、カードで支払えば何の問題もなかったのに…あとの祭りです。

卒業して間もなく彼女は結婚し、ご主人の仕事の関係でニューヨークに移り住んだことを届いた年賀状で知りました。

自宅から見えるマンハッタンの夜景は素晴らしいと書き添えてあります。きっと、「新宿の夜景とは比べ物にならない」と言いたかったのでしょう。