トイレの失敗が激減 その妙案とは

トイレの失敗が激減 その妙案とは

父の介護がはじまろうとしていた頃です。トイレの失敗が頻発していました。加齢とともにトイレが近くなっていたところに運動機能の低下も相まって、トイレに行くたびに下着やズボンを濡らしてしまうのです。

前立腺肥大によるものだろうと薬による改善を試みたり、パットの使用を促してみたりしましたがどれもうまくゆきません。いっそのことおむつを使ってもらえばとも考えましたが、これは更にハードルが高い。

当時の私は「大人のおむつ」というものにどこか抵抗感がありましたし、そもそも、どんなものなのかもよく知りませんでした。

その後も度重なる失敗で家の中のニオイもひどくなり、洗濯の負担も増すばかり。そうした中で後始末をしながら観察を続けたところ、「失禁」と思いきや どうもそれとは少し違うことがわかってきました。

本人の意思によらずに漏らしてしまうのではないのです。尿意を感じてトイレに行くのですが、トイレの中でもたもたしているうちに失敗してしまう。その後、衣服や足を一生懸命拭いているらしく出てくるまでに長い時間を要する。

そんなある日、私はふと気が付いたのです。父は立った姿勢で排尿しようとして失敗するのではないかと。

自分も昔はそうでしたし、ましてや父の世代はみなそうだとおもうのですが、男子は洋式トイレで小さい用を足すときは立ってするものという強烈な固定観念がありました。

理由はよくわからないのですが「座るのは女性」であり「男性が座るのはみっともない(誰もみていないのですが)」と刷り込まれている。たぶん令和のいまでも男性は「座る派」と「立つ派」に分かれているかもしれません。

早速、父に確認してみるとビンゴ!予想は見事に的中です。立った姿勢であるがゆえにに苦労していることが判明。

父に座るように繰り返し言い聞かせると、すぐにインターネットで検索して「座ってご利用ください」のピクトグラムを大きく印刷、トイレの入口扉と室内に貼りました。

それ以降 失敗は激減。一発逆転の妙案に思い至った自分を褒めてあげました。