スピード競争

スピード競争

JR主要3社(東日本・東海・西日本)の2022年3月期連結決算が2年連続で赤字になったという新聞記事を読みました。

収益の源泉である新幹線や在来線特急の乗客減が大きく響いたとのこと。コロナ禍で出張や観光利用がすっかり鳴りを潜めてしまったわけですから当然の帰結なのでしょう。

ところで、新幹線の運行スピードは加速し続けてきました。昭和39年、初代新幹線が東京~新大阪間を4時間で結び、最高時速は210km。

58年後の今は2時間30分、最高時速は270kmです。しかも、東京駅から出発する「のぞみ」は、5分に1本という超過密ダイヤ。

こうした一連の新幹線オペレーションは「神業」であり、鉄道技術の粋を集めたニッポンの「宝」と言ってよいと思います。

それだけに、利用者が少ないということで文字通り「“宝”の持ち腐れ」になってしまっているのは残念なことです。

一方で、こんなに速く、しかも高頻度で人間が移動するインフラが果たして必要なのだろうか?とふと疑問に思うことも。

かつて、コンコルドという超音速旅客機がロンドン/パリとニューヨークを約3時間で結んでいました。しかし、20年ほど前に全てのオペレーションは終了、空のスピード競争に終止符が打たれました。

事故などの影響もあったようですが、詰まるところ「そんなに速く移動してどうするの?」ということなのかと。では、鉄道のスピードは今後どうなるのでしょうか?

日本はものすごいスピードで高齢化が進んでいます。つまり、これからは時間のたっぷりある老人が増えてゆきます。

現役時代は寸暇を惜しんで各地を飛び回っていたようなビジネスパーソンでも、歳をとれば「狭いニッポン そんなに急いでどこへゆく」という人になる。

JR各社は新らたな基軸で長期的なビジョンを打ち出す必要がありそうですね。“試練”は続くよ どこまでも…。