忘れられないクイズ 

忘れられないクイズ 

今でも忘れられないクイズがあります。あれはクイズというべきか、なぞなぞが正しいのか自信がありませんが、ここではクイズと呼ぶことにします。

たしか子供向けの雑誌か何かに載っていたのを見つけたのだと思います。私は小学生でした。クイズやなぞなぞは大好き。

友達同士で出し合ったり、親に出してみたり、面白いネタを探したりと、ずいぶん夢中になっていました。

さて、今でもよく覚えているそのクイズとは次のようなものです。ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

あるところに靴屋が3店、軒を連ねて並んでいました。ある時、そのうちの1軒が店先に【日本一安い店】という大きな看板をたてました。すると、隣の店がすぐさま【世界一安い店】という大きな看板をたてました。では、残る1軒のお店はどんな看板を立てたでしょう?

当時の私は、たぶん【宇宙一安い店】と答えたのではないでしょうか。もちろん、これでは不正解です。子供の頃はこの程度の発想が限界。

しかし、もし自分が大人になって初めてこの問題を出されたとしたら、はたして正解できたかどうか…。

【品質の良い店】とか【親切な店】とか、とにかく隣の店との差別化を図るための看板をたてるべきだとわかりますが、やはり正解にはたどりつけなかったと思います。

正解は【入口はこちら】です。

これには いまでも素晴らしい発想だなぁと感心します。安さを追求した2つの店とは異なり、お客様の動線に着目した差別化ですね。

日本一でも世界一でも結構。それを求めてお客様はまず【入口はこちら】の店に入ってくる。その店は労せずして来店客数を増やすことができ、ビジネスチャンスも高まる。

Googleの検索エンジンなどポータルサイトはまさにこの【入口はこちら】の店そのものです。

Googleと聞くと独自の開発力で次々と新しいサービスを創造しているというイメージがあります。それは事実なのですが、実はそうしたアイデアの素になるユニークな発想というものは、必ずしも新しくはない。

インターネットがなかった時代から既にあった【入口はこちら】の看板が、デジタル化社会の中で検索エンジンに形を変えたということです。

小学校で日本の人口は約1億人と教わりました。その時自分は、それなら「日本人全員から一人たったの1円集めれば1億円になる。なんで、誰もそれをしないの?」と親に質問していたそうです。

小学生では集金にかかるコストなど考えもつきませんので、とにかく不思議に思ったのでしょう。でも、クラウドファンディングなどはこの種の発想から派生した具体といってもよいかもしれません。

こうして振り返ってみると、大化けするかもしれないアイデアの素は私たちの身近に転がっていそうです。