給与の遅配

給与の遅配

ソウルからシドニーに異動して最初の給料日を間近に控えたある日。総務経理のマネージャーが申し訳なさそうな表情で私のオフィスに入ってきた。「“あなたの”給与のことでお願いがあります」と。

支払いを数日遅らせたいと。他の従業員は通常通り支払うが、私の分まで払ってしまうと資金繰りが厳しいと言う。いきなり先制パンチが飛んできたわけだ。

異動先の豪州会社は海外事業所の中でも屈指の赤字会社。そうした状況を承知の上で火中の栗を拾った身としては“No”と言う選択肢はない。

それにしてもまさか初っ端から遅配に遭うとは思わなかった。後にも先にもあれがわが人生における最初で最後の給与遅配。16年前のほろ苦い思い出だ。

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かくと

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「荻窪ラジオ」の神木各人(かみき かくと)です。私は国内外で33年間のビジネスマンライフを終え、今は荻窪を拠点にフリーランスとして活動中です。「荻窪ラジオ」では、私のこれまでの経験や、日々の暮らしで考えたことなどを「オンエア」。「読む」ラジオとしてお付き合いいただければ幸いです。

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