先日、新聞の「人生相談」に高齢者の方が「若い頃に自分をいじめた連中が許せない!でも、今さらそんなことで悶々としていても意味がないのはわかっている…」と、心の持ち方をどうすればよいかアドバイスを求めていました。
回答欄を見ると「過去は忘れて、これからの日常生活のなかで、小さな楽しみや喜びをみつけるようにしてはどうか」という内容が綴られていました。
私も過去の「苦い思い出」をときどき思い出します。そんな時は、とりあえず深入りするのはやめて、別の事を考えるようにしています。
ある日、ふとしたことから「苦い思い出」が顔を出したので、すぐに「楽しい思い出」に置き換えようとしてみたことがあります。
ところが、「楽しい思い出」などすぐには出てきません。そもそも、あまり記憶に残っていないようです。むしろ「苦い思い出」のほうが鮮明に記憶していて、すぐに浮かんでくる。
結局、新たに次の「苦い」が蘇ってきまして、芋ずる式に苦みの連鎖…。まことに厄介な話です。「苦み」を「楽しみ」で上書きしようとする試みはあえなく失敗に終わりました。
その時に気付いたことがあります。それは、「過去」を癒すのは「未来」だということ。
かつて味わった「楽しみ」ではなく、これからの「楽しみ」で上書きしてゆかなければダメなのですね。