お稽古事はやめにくい

お稽古事はやめにくい

若かりし頃、ご近所のおばあさんに三味線を習っていたことがあります。その後、しばらくしてから、もう少し本格的に習いたいと、ある津軽三味線教室の門を叩きました。

三味線を習おうという若者は当時希少だったのか、トライアルレッスンにも関わらず、おじさん師匠の「逃がさないぞ!」という暗黙のプレッシャーが凄かった。

そんな師匠の圧に押し切られるかたちで、私は一抹の不安を抱えたまま入会を申し込み、次の週から受講を開始すると約束して教室を後にしました。

しかし、自宅に戻って再考。これは一度始めたら最後、容易には抜けられない。仕事との両立にも不安が残る。やっぱり申し込みを取り消そう、と決めました。

取り消すといっても、またあの師匠に会って話をするのは気が重い。あの圧を押し返すことができるか?かといって電話で話すのも煩わしいし…。そうだ、手紙で済まそう!

ただ、教室の住所がわかりません。書類を見ても電話番号が書かれているだけ。インターネットもない時代のことですから、電話で聞くしかありません。

そこで、第三者を装って電話をし、対応した事務員に不審に思われながらも、なんとか住所を聞き出し、キャンセルの手紙を書いて投函しました。

華道、茶道、舞踊、特に和のお稽古事は何かと煩わしいことが…。気軽に出来るカルチャーセンターが盛況な理由がよくわかります。

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かくと

かくと

パーソナリティー 

消費財メーカー、福祉サービス会社、スタートアップなど、国内外で33年間勤務。ライフシフトした現在は、荻窪を拠点に老親の介護、ボランティア活動、アルバイトなどマイペースで活動中。

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