人材採用 見極めるべきは何か(2)

人材採用 見極めるべきは何か(2)

人材採用 見極めるべきは何か(1)の「書類選考」に続き、今日は「面接」に話を進めたいと思います。

そもそも面接というのは初対面の人を限られた時間で評定しなければなりませんので、実に難しいのですが、基本的には書類選考と同様3つの視点を持って臨みます。

・人としてどうか

・職業人としてどうか

・自社の社風に合うか

まずは「人としてどうか」について、第一印象で何かを感じとるべく心の準備をしてから対面します。続いて、所作や整容、服装、言葉遣い、醸し出す雰囲気などを包括的に受け止めながら判断してゆきます。

次に「職業人としてどうか」の評定です。経験やスキルについて書類では見えなかった部分を聞き出します。

責任感や協調性、規律性、ストレス耐性、職務知識、語学力、折衝力など、職業人として備えていて欲しい基本的な能力も出来る限り見極めるよう努めます。

また、過去の転職理由なども尋ね、その話しぶりから「他責思考」でないかを見定めます。

そして最後に「社風に合うか」を見極めます。これは、一見どうでもいいことのように思えなくもないですが、私の経験からは むしろ逆で、もっとも大切なポイントだと考えています。

「能力さえあれば、社風にもやがて慣れてくれるだろう」ということは「ない」です。

会社と人の間にも当然ながら相性があり、こればかりは人の力が及ばない。新卒者の採用ならともかく、中途採用の場合はなおさら「ない」でしょう。したがって「能力」を重視するあまり「相性」で妥協しては必ず失敗します。

また、「社風に合う」人というのは、企業理念に共感しているものです。逆に言えば、社風に合わない人は企業理念に必ずしも共感していないので、どんなに能力があっても長くは続かない。では、一体どうすれば「相性」を見極められるのか。

これは、もう勘に頼るしかありません。それこそ面接官である自分自身が「自責思考」で判断するということです。肝心なところが勘という何とも心許ない話ではありますが…。

それでも「亀の甲より年の功」で、人を見る目は少しずつ養われて来ます。つまり、勘が鋭くなるので、自分の経験と勘を信じて「社風に合うか」どうか責任をもって判断するべきです。

ちなみにAIでもさすがに「社風に合うか」どうかは判定が極めて困難だそうです。

しかしながら、いくら経験を積んでも「こんなはずじゃなかった」という採用をしてしまいますし、些細な条件で妥協できず逸材を逃してしまうこともある。

人に関わる仕事の難しさを日々思い知らされるわけですが、こればかりは地道に経験と研鑽を積んで乗り越えてゆくしかありません。