目標設定は”SMART”に

目標設定は”SMART”に

海外の現地子会社での勤務。日本発のブランドを海外に広げてゆく仕事に、とてもやりがいを感じていました。素晴らしい学びや出会いは数えきれません。

今日は、その中から「目標設定」に関して学んだことについてお話したいと思います。それはロンドン駐在時代、「来期の売上・利益予算」を立てるために本社との折衝が始まろうとする頃のことでした。

この折衝、例年のパターンで言いますと、まずは現場が自ら立てた目標数値を本社に提示します。すると、本社は「低すぎる!このくらいは行けるだろう」と返してくる。こうして双方の綱引きがはじまりますが、最終的には本社主導で、現場に言わせれば「かなり高い目標値」が「落しどころ」として決済されます。

しかし、実際に期が始まると、残念ながら予算は毎月「未達成」におわります。営業部隊にもだんだん「負け癖」がついてくる。目標が高すぎる、どうせ達成できない…だから「気持ち」が入らない。負のスパイラルに入り込む。

「今年も無茶な数字がおしつけられるのかなぁ」とぼやいていたら、その場にいた人事マネージャーが「イギリスでは“目標設定はSMARTに”って学校で習うのよ」とニコニコしながら教えてくれました。

「SMART?“スマートな”目標設定 それってつまりどういうことですか?」

「スマートとは5つの単語の頭文字を並べたものなの」

つまり、こういうことです。「目標はーSpecific(具体的)Measurable(測定可能)Achievable(到達しうる)Reasonable(合理的)Time deadline(納期あり)―でなければならない」  

なるほど、実によくできているではありませんか。

目標が漠然としていては話にならない(S)測定できなければ評価できない(M)本社から降臨する「落としどころ」に欠けていた要素(A)当たり前のこと(R)意外と忘れがちだが重要なポイント(T)

さて、これからどんな展開が待っているのか。おや?今回はいつもと少し違います。予算策定の基本方針として、なんと、あの本社が「身の丈予算」なるスローガンを掲げているではありませんか。素晴らしい!

「ようやく東京も風向きが変わり、少しスマートになったようだ」と人事マネージャーに伝えました。すると今度は満面の笑みを浮かべて一言”Congratulations!(おめでとう!)”  

それでも、その年の市況は厳しく、せっかくの「身の丈予算」も未達成。本社からは「身の程知らず」と厳しく叱責されました。