歳をとると耳の機能も当然ながら落ちてくる。私の老親は体温計が検温完了を知らせる「ピッピッ」という電子音が全く聞こえていなかった。
通常の会話は聞き取れていたので「えっ?何?」と何度も聞き返されることはなかったのだが、高音域の検知能力はすっかり失っていた。
アラカンの自分はどうか。幸いどの音域もクリアに聞こえるし、テレビやラジオの音量に関しても通常レベルだと思う。
しかし、最近気になり始めたことがある。これをなんと表現したらよいのだろう…「聞き分けにくくなった」とでも言おうか。
相手は「ツボ押し」と言ったそうだが、私には「つもおき」と聞こえた。そんなケースが増えてきたのだ。特に普段あまり使わない単語はキャッチできないことが多い。
相手の滑舌が悪いという可能性もあるが、テレビやラジオの音声でも時々同じ現象を経験するから、やはりこれは私の耳の機能低下だろう。
親子喧嘩をすれば「聞き分けのない子だね」などと叱られた私だが、半世紀の時を経た今、「聞き分けのできない子」になりつつある。