とにかく出勤することです!

とにかく出勤することです!

2010年に公開された映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語(監督: 錦織良成)」をご覧になった方もいらっしゃると思います。

中井貴一が、50歳を目前にして子供の頃からの夢だった電車の運転士を目指し、家族との絆を取り戻していく男に扮した感動ドラマ。島根東部を走る電車とその田園風景が心を和ませる。(松竹株式会社ホームページより)

私がこの映画を見たのは、12年半の海外駐在を終え、東京本社に戻って3年ほどたった頃。

日本の暮らしにもだいぶ順応してきたものの、とにかく仕事に追われ、本当にこのままで良いのか?と日々葛藤していました。

この映画では、主人公の筒井肇(中井貴一)が49歳で会社を辞めて電車の運転士になるのですが、そのきっかけはリストラです。

筒井がリストラされたのではなく、彼は本社の社員として現場のリストラを断行させられるのです。つまり、仲間の解雇を課せられる。

実は私も海外の事業所で、リストラのミッションを課せられました。現地のトップを拝命し、20名以上の現地スタッフを解雇したのです。

その時の体験があったので、筒井にはかなり感情移入していまいました。ただ、当時の私はまだ40半ばで、さすがに彼ほどの大きな決断はできませんでした。

でも、いつかは筒井のように、「会社の」ではなく「自分の」信念に根差した方向転換を図りたいと思ったものです。

さて、こうした葛藤の日々、本当に心が折れそうになることも時々ありました。そんな時、私を救ってくれたある先輩の言葉があります。それは、「とにかく出勤すること!」です。

その先輩も海外駐在が長く、赤字会社の経営を長年任され、大変苦労された方です。いつも穏やかで声を荒げることもない。私は「ひとの痛みがわかる人だ」と尊敬していました。

その人の究極のアドバイスが「辛いときは、とにかく出勤することだよ!」と。

私にとって、この言葉は「目からウロコ」でした。確かに、会社に行きたくないなぁと思いつつも頑張って出勤すると、なぜか、かえって心が落ち着くことがあります。

そこには、仲間がいて、黙々と仕事をしている。自分は一人じゃないのだ!と思える。実際に仕事に取り組んでみると「案ずるより産むが易し」ということがほとんど。「取り越し苦労だった」こともたくさん。

出勤したくないときこそ、出勤する。この記事を書いていて、短歌を一つ思い出しました。この歌は別の先輩から人生訓として教えて頂いたのですが、そのココロは「出勤することだよ!」と全く同じであることに、たったいま気が付きました。詳しくは改めてお伝えしたいと思います。