子供の要素を使い切る

子供の要素を使い切る

もうずいぶん前のこと。あれは作詞家の阿久悠さんのインタビュー記事(新聞)だったと思いますが、とても印象に残る言葉が書かれていたことを今でもよく覚えています。

それは「子供は、大人になるまでに、子供の要素を使い切ってしまわなければならない」というものでした。たとえば、けんか。子供のうちにけんかをしておかなければならないと。

子供同士のけんかなら、お互いそれほど力もないし、大きなけがも避けられます。いわば争いごとの練習みたいなものをしておくことで、人に向かって手をあげるとはどういうことなのかを、あらかじめ学べるわけです。

このけんかという要素を、大人になってから使うと大変なことになります。筋力も知恵も発達していますので、けがをしたり、させたり、事件になったり、とにかく大事になってしまい社会にも迷惑です。

女性には申し訳ないのですが、スカートめくりもそうでしょう。現にこれを大人になってから実行している人がいます。盗撮というとんでもない姿に形を変えて社会問題になっているのはご存知の通り。

昆虫虐待も子供の要素だと思います。虫眼鏡で太陽の光を集めて蟻をいじめたり、バッタを捕まえて蜘蛛の巣に引っ掛けてみたり。

これが大人になってから使われると、昆虫ではなく幼児への虐待といった痛ましい形で出現してしまうのではないでしょうか。

どれも言ってみれば下品で残酷なことばかり。しかし、これを子供のうちに使い切っておけば、被害の程度も小さいですし、大人になってから問題を起こす可能性も下がるでしょう。

昨今の犯罪の中には「子供じみている」と感じるものが少なくありません。きっと犯人は子供の要素を子供時代に使い切ることができなかったというケースが多いのではないかと思います。

子供の教育が社会にとって如何に重要なことか。学力を偏差値でいくら測っても、子供の要素を使い切れたかどうかは測れるはずもありません。

家庭や学校の役割が大切になってきます。塾では到底対応の出来ないとても重要な役割です。