父は「在宅」、母は「施設(グループホーム)」というのが、二人の心身状態からみて理想的だからといって、「では、そうしましょう」と言うわけにはいきません。
では、そんな状況を踏まえ、私たちは何を考え、どう行動したかと申しますと…。
まずは「経済的な負担」の確認。
施設の場合、費用の大きな部分は実は家賃や管理費なのです。介護保険の自己負担分というのはたかがしれていて、しかも毎月の負担上限まで決まっていて超過すれば自治体から返金してくれますから。
両親が夫婦同居で在宅介護という形が、最も経済的負担が少ない。年金収入だけで回り、貯金も取り崩さなくて済むという状況でした。
つぎに「同居がもたらすプラス効果」の考慮。
これは、捨てがたいものがありました。よく夫婦喧嘩をしていましたが、喧嘩をする相手が居ないよりずっと良いでしょう。2人で暮らすことによって会話も交わしますし、何事も相互に助け合うことができます。
最後に「本人の意思」には頼れないという真実。
結局、どこまでいっても本人の意思は固まらないし、私たちも正直なところ「よくわからない」。ですから、それを大前提にしなければならない。本人の意思には頼れないのです。
これらを踏まえ、私たちは「現状を大きく変えない」ことにしました。介護は「先が見えない」のだと再認識したのです。先の事を考えてもあまり意味がないのです。その結果、当面は「在宅」で行こうと。
「施設」か「在宅」かなんて、まるでビジネスのターゲットを定めるような問いを突き詰めて行動計画を練っても何の意味もありません。
射程をあまり長くとらなくてもよい。介護は今日、明日を、今週を乗り越えればそれでよい。そんな心持ちで「場当たり的に」「都度対応」で4年間やってまいりました。