絶望的だった介護人材の確保

絶望的だった介護人材の確保

消費財メーカーを早期退職してから約3年間、私は福祉事業会社で主に「グループホーム」の運営に携わっていました。

※グループホームとは、認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、認知症の利用者が、グループホームに入所し、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを受けます。グループホームでは、1つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送ります。

厚生労働省HPより

こうした介護サービス事業で最も大変なのが、当時も今も、ヘルパー人材の確保でしょう。ヘルパーは仕事がキツイわりに給与は安い。求人数はうなぎ登りなのに、就業希望者がいない。

当時、私も紙媒体、オンライン、ハローワークなど、あらゆるルートで求人広告を出しました。しかし、応募は少なく、郵便で届く応募書類を見るにつけてもレベルはお世辞にも高いとは言えず…。

履歴書の「資格」欄に「カラアゲニスト(唐揚検定)」と書いてあるのを見た時には開いた口が塞がりませんでした。

なんとか面接の約束まで漕ぎつけても、直前に辞退の連絡があればまだよいほうで、何の連絡もなく面接に現れず、そのまま音信不通になるケースも。

それでも、背に腹は代えられず、余程のことが無い限り基本的には採用の方向で話を進めます。(ちなみに“カラアゲニスト”は不採用にしました)

やっとの思いで雇用契約の締結に至っても安心できません。初出勤日に、これまた何の連絡もなく姿を見せない人が何人かいました。

一週間勤務した後、突然蒸発してしまった人も。この時は自宅アパートまで訪ねていきましたが本人は不在。近所の人に「ここの住人のこと何かご存知ないですか?」… まるで刑事の聞き込み捜査です。

あれから5年の歳月が流れましたが、介護人材不足はますます深刻化しているようです。何かよい知恵はないものか…。今も介護求人の広告を見る度に自問自答を繰り返しています。