新書コーナーで表紙を見て衝動買いしてしまった本。表紙と同サイズの帯も目を引いた。出版社の販売戦略にも“してやられたり”。
日本にいま必要なのは「訂正する力」です。冒頭に書かれているこの一文に、著者の伝えたいことが凝縮。さすが会社経営もされている方だけあって”コンクルージョン ファースト(結論が先)“になっている。
その後に続く論理展開も筋道が明快、文章表現も平易でわかりやすい。なるほど、よく見たら本作品は「書き下ろし」ではなく「語り下ろし」だと書いてあった。
長きにわたる停滞で閉塞感に満ちた現代社会で、人々は「全てをぶち壊してゼロからやり直す」といった極論に惹かれがちだが、そのような考えはあまりに単純で思慮が浅いと説く。
「リセット」ではなく、過去を参照しながらすこしずつ地道に「訂正」をしてゆく努力の積み上げこそが、真に世の中を変え得るのだという著者の主張に、私は大いに共感した。(朝日新書)