共感したり、感動したりした本に出合うと誰かに紹介したくなるものだ。「これ、面白いよ」と家族に薦める。「これ読んだことある?」と友人にラインする。
そんなコミュニケーションを通じて、いつの間にか、お互いの「好み」を知るようになる。「彼女はきっとこの作品にハマる」とか「彼の心には必ず響く」などと想像するのも楽しい。
本著は私の嗜好をよく知る友人が紹介してくれた。私は見事にハマった。
日常生活から取り出された何気ない素材の中に、深遠な人類的主題が隠されていることを私はこの本で示そうとした。
本書 序文より
「素材」はウルトラマンだったり乗り鉄だったり、ウクライナ戦争もあれば、キラキラネームもある。
それらにミトロジー(神話)というモノサシをあてて哲学的な解釈を試みる、とても興味深い内容だ。
何事にもついつい「これにはどういう意味があるのだろう?」と解釈や説明を求めて自問自答してしまう私は、著者の今回の試みから最後まで目が離せなかった。(講談社選書メチエ)