正確には覚えていないのですが、たぶん2~3年前のことだったと思います。書店でふと目にとまりこの作品を手に取りました。
まずタイトルに惹かれ、コンビニ風景の精緻な描写にグイグイと引き込まれ…。「普通」とは何か?を考えさせられる作品なのですが、そうした哲学的な話はひとまず措いて、とにかく面白い。
先日たまたま娘が学校の図書館でこの本を借りて来まして、あのときの記憶がにわかに蘇ってきました。
読み終えてから、この作品が芥川賞受賞作だったことを知り、ますますこの面白さを誰かに言わずにはいられなくなった私は、家族や友人、知人と手あたり次第おススメ開始。
これはあくまで個人的な印象なのですが、女性は女性、男性は男性の作家に共感する傾向があるように思えます。従って、私は女性作家の作品にはあまり心が動かないことが多い。
そういう意味でも、私にとって本作品との出合いは、かなり衝撃的でした。つまり、この著者は私の心の中にある「男女の壁」を、いとも簡単に越えて来たのです。
ところで、私のおススメに応えて下さった方々の反応ですが、皆さん一様に「面白かった!」と来るはず、と思いきや、意外と様々でした。
「普通」ならこう思うだろうなぁと自分勝手に想像していたイメージとは違った。「普通」とは何か?を二度も考えさせられた作品になりました。(文春文庫)