奇跡の経済教室(中野剛志 著)

奇跡の経済教室(中野剛志 著)

先般、小欄で紹介した『どうする財源』に感銘し、経済についてより深く学びたくなった私は、再び同じ中野氏による本著を手に取った。

【基礎知識編】【戦略編】【大論争編】の3冊構成。「目からウロコが落ちる」「全国民が読んだら歴史が変わる」とキャッチーなフレーズが表紙を飾っているが、「確かにその通り」と思わせる内容だ。

資本主義社会における官(=財政)と民(=信用創造)の貨幣循環(=経済そのもの)をわかりやすく教えてくれる【基礎知識編】は『どうする財源』の深掘り版といった感じ。

続く【戦略編】では、失政を重ねた日本の経済対策を分析し、問題解決への処方箋を示す。【大論争編】は「矢野論文」への批判がメインで、専門家や識者の言論を鵜呑みにしてはいけないと思い知らされる。

著者の論旨のベースにあるのがMMT(現代貨幣理論)なのだが、それに関するわかりやすい解説も随所にコラムとして書かれている。非常に中身の濃い内容だ。(KKベストセラーズ)