認知症の親の介護をはじめてから、薬についてもいろいろと学んだ。もともと飲んでいたものに加えて、認知症の進行抑制剤や向精神薬が処方された。
認知症の薬は効かなかった。というより効いているのかいないのかよくわからない。当初は何種類か試したが、結局どれもやめた。
軽度認知症の段階で服用すれば効いたのかもしれないが、その辺りはよくわからない。むしろ先生が最もエネルギーを注いだのは向精神薬の調整だ。
本人が少しでも長い時間を穏やかな気持ちで暮らせること。薬を服用する最大の目的はこれで、そのために実効がある手段としてはやはり向精神薬しかないのが現状のようだ。
しかし、向精神薬は副作用のリスクが大きいし、効きすぎると、それこそボーっとして「恍惚の人」になってしまう。そこで、適切なクスリの種類、分量、頻度を探りあてるべく投与と経過観察を重ねる。
しかし、ようやく良い塩梅に落ち着き始めての安堵もつかの間、本人の状態が日々変化するせいなのか、ふたたび不安定な状態に戻ってゆく。再びベストポジション探しがはじまる。
そんな繰り返しが今も続いている。