防衛大学校(3)

防衛大学校(3)

防衛大学校の合格発表は父が率先して見に行ってくれました。父は私の進学先に関しては一切口を挟まない人でしたが、たぶん防大進学には大賛成だったと思います。

父の兄が海上自衛隊員であり、自衛隊は身近な存在。いろいろな話も聞かされていたはずです。きっと、父の中では防大は東大よりも格上だったのでしょう。「合格だったよ!おめでとう!」という父の嬉しそうな電話の声は今でもよく覚えています。

母は反対していました。経済的にはなんとかするから浪人してでも一般の大学を目指してほしいと思っていたようです。

ところで、防衛大学校というのは防衛省管轄の学校で、名称も「大学」ではなく「大学校」。「大学」は文部科学省所管、大学校は文部科学省以外の省庁の所管の学校です。

例えば、海上保安庁の海上保安大学校、気象庁の気象大学校などがあります。入試日程も一般大学より少し早かったので、受験の予行演習になることから、進学するつもりはなくても受験する人が結構いました。しかも受験料は無料。

さて、一次試験の合格者は二次試験(面接・身体測定)に進みます。試験会場はいずれも市ヶ谷駐屯地。

試験監督や面接官など軍服(制服)をまとった強面の男性があちこちでうろうろしている風景は、高校三年生の私には刺激的でした。

特に身体測定のときは、(TVや映画でしかみたことがないのですが)徴兵検査ってこんな雰囲気なのかなぁなどと余計なことを考えていました。

てっきり体力測定もあるのかと思ったのですが、それはナシ。健康でさえあれば、特に身体が強靭である必要はないことを知りました。(つづく)