今から5年ほど前のこと。当時の私は福祉事業を営む会社で介護施設の運営に携わる傍ら、同社の社長と二人三脚で新たにビジネスコンサルティングを生業とする会社の立ち上げにも着手していました。
構想としては福祉事業を第三者に売却し、それを元手に自分たちが挑戦してみたかったコンサルティング分野に進出するというもの。大きな方向転換とチャレンジです。
同時に私は今後の自分の生き方についても逡巡していました。こうしてやりたかったことができるのは有難いのですが、この会社に留まりリスクをとり続けてよいものか。
大企業から小企業への転身だったこともあり、余計に今の会社と仕事に不安を覚えていたのは否めません。
結局、リスクとリターンはトレードオフの関係にあると頭でわかっているのですが、実際にその狭間に立たされると、さてこの先どうするべきかと迷いが…。
そんな折、近所の書店で立ち読みをしていましたところ、たまたま手に取ってみた本にこんな主旨のことが書かれていました。
家族を理由に会社を辞められないという人がいる。しかし、辞められない理由にされる家族はどう思うだろうか?子供は、自分(=子供)の為に「夢」を諦めている親をどう思うだろうか?妻は、自分(=妻)の為に「なりたい自分」を犠牲にしている夫をどう思うだろうか?
この一節は私の背中を押してくれました。そして1年半後、私たちは計画通り新会社を設立しコンサルティング事業を無事スタート。幸い家族を路頭に迷わせることはありませんでした。