マイホームは買うべきか、それとも賃貸がよいか?この種のタイトルがついた本や雑誌、不動産関連のチラシをよく目にします。
購入するとなると莫大な資金が必要、かといって賃貸では家賃を払っても何も残りませんのでもったいないような気もします。
残念なのは購入にお金がかかりすぎること。衣食住というのは人間が生きてゆくうえで不可欠なもの。なかでも住はその基点であり起点になります。
しかしながら、「一生の買い物」などと言われ、手に入れるためにローンを組み、その返済を終える頃には人生の終盤を迎える。
「起点」を確保するために日々働き続けて借金を返していたら、いつのまにか「終点」に差し掛かっているというなんとも悲しい現実。
それでも私は賃貸よりは購入したほうが良いと思います。理由はお金の損得勘定ではありません。損か得かということであれば、ケースバイケースとしか申し上げようがない。
購入をお勧めする理由は、「そのほうが落ち着くから」です。
私は数年の賃貸生活を経て購入に踏み切りましたが、つくづく思うのは「借り住まい」は「仮住まい」ということ。
仮住まいだと何もかも「定まらない」感じなのです。例えば家具を買うにしても「仮住まいだからとりあえず手ごろなもので妥協」します。
その後、しばらくは妥協した家具を使い続けるわけですが、その家具と暮らす時間というものを考えたとき、それはすこしもったいないような気がするのです。
これが持ち家になると「定まる」のです。家具選びに際して末永く使うことが前提になります。高価でも長く使える良質なものを買いたくなります。
お気に入りの家具に囲まれて過ごす時間と、妥協の産物と共に過ごす時間ではその質はずいぶん違うはずです。この差をお金に換算するのは難しいですが…。
持ち家は経済的には確かに負担が大きいし、ようやく「起点」を得た頃には「終点」にさしかかっている。でも、それはあくまでお金の話。
気持ちの上では、家を持ったほうが「基点」あるいは「起点」を確保し、地に足がついた感じになりますので間違いなく落ち着きます。
地に足がつけば、そこから力強く地面を蹴って歩みだせる、そんなふうに気持ちが「定まる」ように思うのです。