質朴に生きる

質朴に生きる

定期的に靖国神社に行きます。海外赴任していたときは一時帰国で東京に戻ってくる度に、地下鉄の九段下で降りて武道館を左に見ながら坂を上り、鳥居をくぐってあの大きな大村益次郎の銅像を仰ぎ見ました。

本帰国してからは、なかなか時間がとれずに2年に1回くらいのペースになってしまいましたが…。

今から約11年前の平成23年10月に訪れた時のこと。中門鳥居近く、「ご自由にお取りください」と書かれた箱に入った短冊を1枚持ち帰り、それを今も大切にとってあります。

そこには江戸後期の歌人、大隈言道(おおくまことみち)の一首が書かれています。

末の世と いつより人の いひ()めて (なほ)世の末にならぬなるらむ

人はいつの時代から「世も末だ」と言い始めたのだろうか。随分、昔から言い続けながらも、いまだに世の末にはならないようだ。『草径集』

幕末といういわば日本の世紀末の時代にあって、それに浮足立つ世相への憤りを歌ったもの。自分の今、生きている時代を自覚し、質朴に懸命に生きることが大切だという思いが込められている。

コロナ禍、ウクライナ侵攻…まさに世紀末の様相ですが、この歌は私たちに勇気と希望を与えてくれます。

マスコミやネットにあふれる情報洪水に呑まれることなく、地に足をしっかりつけて一生懸命に生きてゆきたいと思います。