卒寿の贈り物

卒寿の贈り物

母が卒寿を迎えた。小さなプリザーブドフラワーを持って施設へ。壁際のいつもの場所に車椅子で佇む母に歩み寄る。

きっと、今日もこちらが一方的に話しかけて終了だろうと思いつつ視線が合うやいなや「ありがとうございます」というしっかりした母の第一声。表情も穏やかで元気そうだ。

「ご飯食べた?」と問えば「うん、ちょうど食べ終わったところ、美味しかった」とタイムリーに返って来る。滑舌も悪くない。

その後の会話も、内容はチグハグだが、言葉のキャッチボールは完璧に成り立った。まるで別人、時計の針が2年くらい戻ったかのようだった。

肋骨の骨折も無事回復した模様で「どこも痛くない」とのこと。「このところお元気で調子がいいですよ」とヘルパーさん。

卒寿のプレゼントを届けた私のほうが、逆に嬉しいプレゼントをいただいて帰って来た。