先日、近所に買い物に出かけたところ、道で突然呼び止められた。なんと、かつての職場の先輩であるAさんではないか。最近、荻窪に引っ越してきたそうだ。最後にお会いしたのは数年前だったか。
Aさんは今年定年を迎えたそうだが、会社からオファーのあった再雇用の条件があまりに酷くて憤慨したという話を始めた。
「年収1000越えが、いきなり300ちょい。人をバカにしていると思わない?」まさに“桁違い”の低収入に納得がいかなかったと。
そこで会社と交渉するも、次に来たオファーは「給与は2倍、でも、仕事量と責任範囲は3倍」だと。結局、再雇用は断念したそうだ。
さて、雇用というのは労働市場における労働力の取引。当然、需要と供給のバランスで価格(=給与)が決まる。ただそれだけのこと。
従って、当然ながらその人物の「人としての価値」と「年収」は全く関係ない。
しかし、サラリーマン生活が長くなると、ついつい人間の価値を年収で測ってしまう。Aさんも低い金額を提示されて、「あなたは価値のない人間だ」と言われたような気持になったのかもしれない。