とっさに返事する

とっさに返事する

父が他界してから「この度は、ご愁傷様です」 とお悔やみの言葉をいただく機会がふえました。親戚や知人のみならず、銀行や役所の手続きを進める際にも、皆さまからこうしたお心遣いを頂戴します。

この言葉は、そう頻繁に言われるものではありませんので、今回初めて言われたとき私は一瞬口ごもってしまいました。そして咄嗟に口から出て来たのが「おそれいります」です。

あれ、これって正しいのかなぁ?と一抹の不安が…。調べてみると「お心遣いありがとうございます」とか「おそれいります」でよろしいとのことで安堵した次第です。

先日、善福寺川の細い側道を自転車で走っていたところ、前方に高齢の男性がゆっくりとした足取りで歩いていました。道幅がかなり狭いので、一声かけないと追い越せません。

そこで「すみません!」と声をかけると身体をねじって道を開けてくれました。そこでもういちど「すみません」と言ったところ「はい」という返答。

しばらくすると今度は前方から若い男性がこちらに向かって歩いて来ます。彼はわざわざ立ち止まり身体を壁にピッタリ寄せて道を空けてくれました。そこで、私は「すみません」と言うと、これまた「はい」という返答。

とても親切なお二人が、まるで学校の先生に出欠を取るために名前を呼ばれた時のような返事をしてくれましたのが、どこか面白かった。

きっと二人とも「ご愁傷様」と最初に言われた時の私のように、何と答えたらよいか一瞬迷った次の瞬間なぜか意図せず「はい」と返事をしていたように感じたからです。

宅配便を受け取ってハンコを押したら「ありがとうございました」と言われる。それに対して、何と答えるか?役所の窓口に出向いて書類を受け取ったあと「お疲れ様でした」と言われる。その時はどう返す?返事というのは意外と簡単なようで難しいものですね。

ある日の午前10時頃、ご近所さんとエレベーターに乗り合わせたとき「こんにちは!」と言われました。「おはようございます!」と言う心づもりをしていた私は、瞬時にプランを変更して「こんにちは!」と答えました。