一緒に降りた乗客はどこへ消えたのか?いつの間にか一人ぼっちになっていた私は、誰もいない駅の待合室で、とりあえず松本駅で買って来た駅弁を食べることにした。
無人駅のはずだが、なぜか窓口があって、そこにおばあさんが一人座っていた。駅弁を食べている私には全く関心がない様子で、視線が合わない。いったい彼女は何者なのか?
窓口には「当駅では乗車券は発売しておりません」という貼り紙。その横に「来駅記念券」1枚200円と書かれた手作りのポップ。なるほど、彼女は「記念券」の販売係なのだ。
いったいどこに居たのか、さっき一緒に降りた中年夫婦がいつのまにか窓口で「この記念券を1枚ください」と注文しているのには驚いた。
それを見た私は一瞬「買おうかなぁ」と迷ったが、乗車駅証明書の発券機を見つけたので、これを発券して記念券に代えることにする。
赤いボタンを押してみると「〇月〇日姨捨駅乗車証明書」と印刷された小さな紙が1枚出てきた。素晴らしい!これで十分記念になると大いに満足。(つづく)