社内より社外

社内より社外

会社の経営陣には社内の人間が言うことをあまり信用しない人が意外に多いと感じます。そういう人に限って、外部のコンサルタントや専門家と称する人々の意見を鵜呑みにする傾向も。

課長や部長といった中間管理職レベルであれば部下の言うことは基本的に信用するというスタンスでしょう。

ところが、本部長、常務、専務、社長という具合に役職が高くなるほど「社員の話だけでは何とも言えないので、外部コンサルに調査させるべし」という傾向が強くなるようです。

もちろん内容次第では、どうしても社内リソースでは賄えない難易度の高いケースも実際にはあると思います。客観的な立場での社外意見を参考までに聞くというのも理解できます。社内で何か不祥事が起きた場合などは、逆に第三者委員会など外部の目は必須ですね。

しかし、ちょっとした新企画の提案や、コスト削減プロジェクトといったことにまで「外部コンサルを入れろ」と言う偉い方々が意外と多い。

ただ、外部コンサルに頼んでも、結局彼らはその会社の「社内スタッフ」からヒアリングをして、その結果をまとめるわけですから、社内でも社外でも内容は五十歩百歩です。

外部の専門家に任せれば、プレゼンテーションのスライドが見やすいとか、ストーリーがカッコよくまとまっているといったことはあるでしょう。「外部・社外」というだけで客観性が担保されているような演出もしやすい。

いやむしろ、そうした見栄えの良さや表面的な客観性こそが、提案を通す際の武器になるというのも、特に大きな企業の場合は紛れもない事実ですね。

さて、ずいぶん昔の話になりますが、NHKテレビで「その時歴史が動いた」という歴史ドキュメンタリー番組がありまして、その中に「外様大名はこうして生き残った」と題する回がありました。

毎回エンディングで、BGMに合わせて登場人物の言葉やエピソードを紹介してカッコよく終わるのですが、その回では毛利輝元の言葉が松平アナウンサーの声で読み上げられました。

他国の者を心やすく使うことで 家中の者の心を遠ざけてはいけない

家中の者に気遣いがないのはあまりに当世風でありすぎる

毛利家は今どきの大名とは違うのだ

毛利輝元覚書より意訳 (NHK)

当時、外部コンサルが大好きな上層部に辟易していた私は、この言葉にいたく感動したのをよく覚えています。さすが!空前の大名取りつぶし政策という逆境を、見事に生き残った外様大名のおっしゃることは違います。